近年、会社の法人口座をネット銀行で開設する経営者が増えています。
ネット銀行とは店舗を持たずインターネット上で取引できる銀行のことで、24時間いつでも取引可能で手数料も割安なのが特徴です。
小規模事業者にとって、振込手数料の安さや口座開設のしやすさは大きな魅力です。
ネット銀行の法人口座がなぜ選ばれているのか、そのメリットや活用シーンについて分かりやすく解説していきたいと思いますので参考にしてみて下さい。

ネット銀行を利用するメリットとは?

手数料が安い
ネット銀行最大のメリットは、振込手数料など各種手数料の安さです。
例えば他行あての振込手数料は、大手銀行では400~600円程度かかることもありますが、ネット銀行なら100円台に抑えられる場合がほとんどです。
さらに口座維持手数料やインターネットバンキング利用料も無料のところが多く、日々の銀行コストを大幅に削減できます。

24時間365日取引可能
ネット銀行はインターネット環境さえあれば、いつでもどこでも口座を利用できます。
深夜や週末でも残高確認や振込処理ができるため、銀行営業時間を気にする必要がありません。
特に営業時間外に取引することが多い企業にとって、時間に縛られない利便性は非常に高いでしょう。

口座開設が簡単(審査が柔軟)
ネット銀行の多くは口座開設の申し込みがWeb上で完結します。
店舗に出向く必要がなく、必要事項をオンラインフォームに入力すれば手続きが進むため、非常に簡便です。

また、ネット銀行各社はスタートアップや中小企業を主な顧客ターゲットとしているため、メガバンクほど厳格な審査基準を設けていません。
実績が少ない新設法人でも比較的スムーズに口座開設ができるケースが多く、審査基準が柔軟だと言われます。
例えば資本金が少額でも開設できたり、代表者の携帯電話番号で申込可能な銀行が多いなど、新興企業に優しい姿勢が特徴です。
実際、GMOあおぞらネット銀行は「資本金額は審査に影響しない」と公式に表明しており、資本金の最低要件を気にせず申込できます。

最短即日~短期間で利用開始
手続きがオンライン中心のため、口座開設までのスピードも速いです。
銀行によっては申し込みから数日で口座開設が完了します。
例えば、GMOあおぞらネット銀行では審査が最短即日~平均2営業日、住信SBIネット銀行でもオンライン申請なら翌営業日には審査完了する場合があります。
一方、従来のメガバンクでは開設に数週間かかることもあるため、このスピード感もネット銀行ならではの強みです。

先進的な機能が充実
ネット銀行は常に新しい技術を取り入れており、企業の資金管理を効率化する先進的なサービスが揃っています。
例えば主要なネット銀行は、クラウド会計ソフト(freeeやマネーフォワード等)と連携可能で、取引明細を自動連係して日々の経理仕訳に役立てることができます。
API連携を提供している銀行もあり、自社システムやアプリから残高照会・振込指示などを自動化することも可能です。
また、複数の担当者で資金を管理しやすいように、一社で複数の口座を持てたり複数ユーザーIDを発行できるサービスもあります。
例えば楽天銀行では「口座管理プラス」により担当者ごとに権限を分けたID発行や、最大20口座までの複数口座管理が簡単に行えます。

以上のように、ネット銀行の法人口座にはコスト面・利便性・スピード・機能面で多くのメリットがあります。
特に「振込にかかるコストを減らしたい」「忙しくて銀行に行く時間がない」「最新のITを活用して効率化したい」という経営者の方には、ネット銀行は強い味方となるでしょう。
経営者に人気のネット銀行法人口座4選
それでは具体的に、多くの経営者が選んでいるネット銀行の法人口座を見ていきましょう。
現在、法人口座が開設できる主なネット銀行としては「GMOあおぞらネット銀行」「住信SBIネット銀行」「PayPay銀行」「楽天銀行」などが挙げられます。

GMOあおぞらネット銀行
GMOあおぞらネット銀行は、起業家から圧倒的な支持を受けているネット銀行です。
実際、創業間もない法人に最も選ばれているネット銀行であり、ある調査では新規法人の半数以上がGMOあおぞらで口座開設していたという結果も出ています。
人気の理由は何と言っても振込手数料の安さと使い勝手の良さです。

月額基本料や口座維持費もゼロなので、日常的な銀行コストを大幅に節約できます。
また資本金の最低要件がないことを公式に明言している唯一の銀行であり、資本金が少ないスタートアップでも安心して申し込めます。
実際「資本金10万円台の会社だったが、GMOあおぞらならすんなり通った」という起業家の声もあります。

100IDまで発行可能なネットバンキングや、最大20口座までの複数口座開設に対応した「法人口座パック」など、成長企業のニーズに応える機能が豊富です。
さらにAPI連携も充実しており、会計ソフトや自社システムとのデータ連係が容易です。
「振込手数料の安さに定評がある非常に人気なネット銀行」であり、創業期・小規模法人に特に支持されています。

住信SBIネット銀行
住信SBIネット銀行も、経営者に人気の高いネット銀行の一つです。
SBIグループと住友信託銀行の共同出資による銀行で、ネット銀行の中でも総合力が高いと評価されています。
住信SBIネット銀行の特長は、必要書類が少なく口座開設しやすい点です。
オンライン申請を選べば、代表者の本人確認書類(例:運転免許証)だけで審査を進めることも可能で、印鑑証明書や事業計画書など煩雑な書類提出なしに開設できてしまいます。
これは業界でも屈指の手軽さで、書類準備の手間を嫌う経営者には大きな魅力でしょう。

また融資サービスや外貨預金、資産運用サービスまで幅広く提供しており、銀行取引をトータルに任せられる安心感があります。
ネット銀行でありながら旧来の信託銀行のDNAも受け継いでいるため、将来的に融資を受けたい場合や余剰資金の運用を考える場合にも心強いパートナーです。
事実、「GMOあおぞらネット銀行に次ぐ人気を誇る」との調査結果もあり、創業者から中小企業まで幅広い支持を集めています。

PayPay銀行
PayPay銀行は、スマホ世代の経営者に支持されるネット銀行です。
名前の通りキャッシュレス決済大手のPayPayとの親和性が高く、「キャッシュレス・オンライン取引をメインにするなら最適」と評価されています。
PayPay銀行の大きな特徴は、スマートフォンで完結する使い勝手の良さです。
口座開設の申込から審査までスマホでスムーズに進み、画面操作性が他行より優れているとの声もあります。

また、PayPay銀行では口座開設と同時にVisaデビット機能付きのキャッシュカードが発行されます。
このビジネスデビットカードは審査不要で即利用でき、利用額の引き落としが口座残高からリアルタイムに行われるものです。
クレジットカードのように翌月払いにも対応しており(後払い型デビット)、法人クレジットカード発行までの繋ぎとしても便利です。

経費支払いにすぐ使えてポイント還元も受けられるため、創業初期のキャッシュフロー管理に役立つでしょう。
「なにかと忙しい創業期の起業家には、PayPay銀行がおすすめです」という声がある通り、スピード重視・スマホ中心のビジネスにはピッタリの銀行です。
手数料面でも業界最低水準をうたっており、他行宛振込手数料は160円(税込)と安く、さらに月5回までは他行あて含め振込手数料0円になる優遇があります。
PayPay残高との連携もスムーズで、たとえばPayPayで決済を受け付ける商売をしている場合、売上金をPayPay銀行にリアルタイムで振り替えるといった資金移動も簡単です。

楽天銀行
楽天銀行は、ネット銀行業界で口座数No.1を誇る最大手です。
個人向けのイメージが強いですが、法人ビジネス口座も提供しており、楽天グループとの連携メリットを求める経営者から選ばれています。
楽天銀行の魅力は何と言っても楽天経済圏とのシナジー効果です。

また楽天カード(法人カード)や楽天ペイなど、楽天グループのサービス利用状況に応じて楽天ポイントが貯まったり、グループ間での資金管理を一元化しやすい利点もあります。
実際、楽天銀行のビジネスデビットカード(JCB)は利用額の1%キャッシュバックという特典があり、日々の経費支払いでポイントを貯めたい企業には嬉しい仕組みです。
銀行サービスとしても、楽天銀行は24時間365日リアルタイム振込に対応し(他行あて振込も原則24時間即時決済)、大量振込サービスも無料と、利便性とコスト面で優れています。
振込手数料自体は他のネット銀行に比べるとやや高め(他行宛150~250円)ですが、「楽天ポイントを貯めたい」「楽天カードの引き落としや楽天ペイの入金をまとめて管理したい」というニーズがあるなら検討する価値は大いにあります。

注意点として、楽天銀行の法人口座は申込に固定電話かIP電話(050番号)が必須です。
そのため、自宅オフィス等で固定電話が無い場合は050から始まるIP電話の導入が必要になります。
しかし裏を返せば電話要件さえ満たせば、来店不要・ネット完結で口座開設でき、基本サービスが無料で使える非常に便利な銀行です。

ネット銀行の法人口座は、その利便性とコストメリットの高さから、多くの経営者に支持されています。
振込手数料や口座維持費が安く、オンラインで手軽に開設・利用できるため、創業したてのスタートアップから中小企業まで幅広い法人にとって実務上大きなメリットがあります。
特に「銀行手数料をできるだけ節約したい」「すぐにでも口座が必要だ」「経理を効率化したい」というニーズには、ネット銀行がうってつけです。
一方で、企業規模が大きくなったり取引先の信用力をより重視する場面では、メガバンクの口座を併せ持つことも検討されます。
つまり、ネット銀行を日常のメインバンクとしてコスト削減に活用し、必要に応じてメガバンクで信用力を補完するという使い分けも定番です。
